昨日、インターネットのニュースで、卓球の福原愛さんが咳喘息だったという記事を読みました。
試合中、咳き込むこともあったそうで、本来のチカラが出せなっかたのかもしれませんね。
咳が止まらないのは、身体も辛いし、集中力も低下して仕事や勉強にも支障がでますよね。
夜中、寝ているときに咳が出て目が覚めてしまって睡眠不足になってしまった。
なんて経験ありませんか?
今日は、今年1月に発行した、クリニック新聞の掲載記事をご紹介いたします。
ツラい咳が続いている方は、どうか自己判断で市販のかぜ薬を飲んだりせずに、医師の診察を受けてみてください。
『長引く咳』
かぜをひきやすいこの季節に咳が長引き、漫然と市販のかぜ薬を飲んで過ごしている方はいないでしょうか?長引く咳の原因はかぜだけではありません。
肺や気管支に何らかの異物が入った時に、これを排除しようとする生体防御機構が咳嗽(がいそう)反射、いわゆる咳です。健康であっても生体防御反応として出る咳もあれば、何らかの病気が原因で咳が長引くこともあります。
痰がからむ咳を湿性咳嗽、痰のからまない咳を乾性咳嗽といいます。湿性咳嗽は気道からの分泌物の増加が原因です。乾性咳嗽は気管支の収縮や、刺激で咳が出やすくなることが原因です。また、咳嗽は持続期間によって急性、遷延性、および慢性に分類できます。発症して3週間未満の咳を急性咳嗽、3週間以上8週間未満を遷延性咳嗽、8週間以上続く咳を慢性咳嗽といいます。急性咳嗽の原因は急性上気道炎と感染後咳嗽(かぜの回復期)であることが最も多く、2~3週間以内に治まります。なかなか咳が治まらないとき(遷延性・慢性咳嗽)は他の原因を考える必要があります。
<遷延性・慢性咳嗽の原因>
後鼻漏症候群
後鼻漏とは鼻汁が鼻の後ろを通りのどに流れ落ちる状態です。落ちた鼻汁が咳やのどの違和感を引き起こします。後鼻漏の原因には慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などがあり、治療には去痰薬や抗アレルギー薬、細菌感染がある場合は抗菌薬を使用します。
気管支喘息
夜間から明け方に症状が出やすく、咳嗽の他、呼吸の際に喘鳴が聞こえ、呼吸が困難になります。アレルギー体質の方に多く、気道が慢性的に炎症を起こし過敏になるため、気道が収縮し症状が出現します。気管支喘息の治療は重症度に応じて行われ、発作止めの薬だけではなく、発作予防の薬を継続することが大切です。
咳喘息
気管支喘息とは異なり喘鳴を伴わず、夜間や明け方に乾性咳嗽のみが持続します。たばこの煙や香水のにおいなど刺激によって誘発されます。かぜをひき、気道に炎症が起きたのをきっかけに咳喘息を発症することが多く、治療は気管支拡張薬や吸入ステロイド薬を使用します。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
喫煙歴があり、湿性咳嗽や息切れを自覚する方はCOPDの可能性があります。1日に20本の喫煙を10年から20年つづけると慢性気管支炎(COPDの初期段階)になります。普段から咳や痰が増え、かぜをひくと症状がひどくなります。未治療のまま経過すると肺機能が低下するため、禁煙や早期治療が重要です。
胃食道逆流症
逆流性食道炎とよばれることもあります。胃液や消化途中の食べ物が食道に逆流して炎症を起こす病気ですが、逆流の刺激で咳が出ることがあります。プロトンポンプ阻害薬(PPI)を内服することで症状は治まります。
感染症
感染症で咳が長引くものに、マイコプラズマ感染症、百日咳、肺炎クラミジア感染症、肺結核などがあります。いずれの感染症も病原体に応じた抗菌薬で治療します。
咳嗽の原因は様々で、原因に応じた治療をすることが基本です。長引く咳に対して、かぜを繰り返しているだけだろうと決めつけずに、かかりつけ医に相談することをおすすめします。
ーーケンズニュース2016年 1・2月号 みなとみらいケンズクリニック 院長:渡邊史郎ーー