日本における新型コロナウイルス感染症(以下新型コロナ)は、2021年8月17日時点で約116万人確認されており、現在(8 月18日)毎日二万人近い新規感染者が確認され、これまで一万五千人以上の方が亡くなっています。感染拡大が止まらないこの感染症に関して診察時に皆さんから色々なご質問を受けます。今回はその中から主なものを取り上げてご説明します。
①新型コロナは風邪と同じだから、あまり心配要らないと言う人もいますが本当ですか?
重症化する人が60歳以上で8.5% 死亡率は5.7%であり、風邪とは全く違うものと認識すべきです。ちなみに、インフルエンザでの死亡率は0.1%位ですから、新型コロナの致死率の高さが分かります。
②後遺症が続くと聞きました。どんな症状ですか?
咳や倦怠感、味覚嗅覚異常が数ヶ月後も残ったり、発症時になかった脱毛が発症数ヶ月後に出現する事があります。
③ウイルスが変異するのはなぜですか?
ウイルスは増殖を繰り返すうちに遺伝子が変わる特徴があります。したがって、感染する人が増えるほど変異もしやすくなります。
④どうやって感染するのですか?
一定量のウイルスが体内に入ると感染します。手で触っても感染しませんが、その手を口にもっていけば感染します。一番多いのは、感染者からの飛沫を吸い込む事によりますから、お互いにマスクをする事が感染予防上大切です。
⑤感染予防の方法を教えてください
先ほどお話ししたようにみんなでマスクをする事が大切です。自分も相手も感染している可能性を考えて行動することが大切です。しかし、家庭内でマスクをする事は難しいので、家庭にウイルスを持ち込まないように各々が注意する必要があります。現時点では初期に使える特効薬がない(この記事が読まれる頃には抗体カクテル療法が使われているかも)ため、ワクチンを打って抗体を付けることが一番の予防法です。
⑥ワクチンの種類、有効性と安全性について
現在日本で認可されている新型コロナのワクチンはファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、3社のワクチンです。ファイザーとモデルナは小さな粒子の中に新型コロナウイルスの表面タンパクを作る遺伝情報mRNAを入れたものです。アストラゼネカ製は、その表面タンパクを作る遺伝情報をチンパンジーのアデノウイルスに組み込んだものです。少なくとも、これまでの新型コロナへの予防効果はファイザー、モデルナ共に非常に高いと報告されていますが、現在感染の主流であるデルタ型ではファイザーで5割弱、モデルナで8割弱の予防効果との報告もあります。実際、当院でもファイザーを2回接種して1ヶ月経過した方の感染事例が複数ありました。ただし、いずれの方も症状が軽く済んでいます。安全性については長期のものは不明ですが、重大な副作用がでる可能性は低いようです。
⑦ワクチン接種の時に普段の薬は飲んで行って良いでしょうか?
ワクチン前にやめなければいけない薬はありません
⑧ワクチン接種前後の内視鏡検査について
ワクチン前日の内視鏡検査は問題ありません。ワクチン翌日の内視鏡検査は、問い合わせ頂いた場合には数日間は延期するようにお勧めしています。個人差はありますが、接種翌日は発熱や倦怠感が出ることが多いためです。一般的には接種後2週間以内の大きな手術は推奨しない、とされています。理由は、大きな手術により免疫力が低下した場合、ワクチンによる抗体産生が落ちることを懸念しての事とされています。 まだまだお答えすべき質問がたくさんありますが、紙面の都合上今回は以上とさせて頂きます。質問のある方は診察時にお尋ね下さい。