風邪は万病の元、と言われますが、風邪から気管支炎や肺炎になったり、もともとの持病が悪くなったりすることは珍しくありません。また、風邪と思っていたら、実は肺結核や肺がん、心不全など違う病気ということもあります。
風邪は咽頭痛、鼻水、咳、という症状の少なくとも2つが揃った時に診断する事が多いです。逆にこの3つの症状が一つもなければ風邪は考えにくいのです。例えば、発熱と頭痛だけの風邪はあまりみません。喉が痛くて熱が出てきて頭痛もする、という経過の風邪はあります。この時多くの場合は鼻水も出ています。ですから、発熱と頭痛だけの場合、髄膜炎や脳炎などの可能性を考えて診察するのです。
風邪はかからないのが1番ですが、皆さんは何か対策をしていますか。外出から帰ったらうがいと手洗いをする。とても有効だと思います。暖かくして外出する、栄養を摂る、睡眠をしっかり取るという事も大切です。風邪はウイルスという小さな目では見えない(普通の顕微鏡でもみえません)病原体が原因で起こる病気で、口から入って感染します。風邪をひいた人が咳やくしゃみをすると、ウイルスの入った小さな水滴が空気中に舞って、それを吸い込むことで感染します。これが飛沫感染と呼ばれるものです。また、そうしたウイルスが着いた所に触れた手で何かを食べたりすると、やはりウイルスが口から入って感染します。これが接触感染です。
飛沫感染を予防するためには、人混みに出かけないことや、気密性の高いマスクをすることが大切です。また接触感染予防には、手洗いをする事と、外出した日は髪の毛を洗う事が必要です。
しかし、気をつけていてもかかってしまうのが風邪ですよね。かかったらどうするか。
風邪を治す薬は基本的にはありません。暖かくして、美味しいもの食べて、良く休む。これが風邪治療法の基本です。
テレビコマーシャルで、「かかったかな、と思ったら・・・」という宣伝があります。市販感冒薬のほとんどは症状緩和剤です。したがって、風邪を根本的に治すのではなく、頭痛や鼻水、咳等の症状を抑えるだけです。ですから、風邪の初期に市販感冒薬を使って普段通りに働いたり夜更かしをしていると、かえって風邪が悪化して気管支炎や肺炎に移行することもあります。特に東洋医学的に考えると、風邪の初期は身体を温めて免疫力を上げたいにもかかわらず、市販感冒薬や西洋医学の感冒薬は体温を下げて身体を冷やしてしまうため、良い治療法ではないと考えます。
では風邪にかかった時にどうするか。これまで風邪で診療を1日も休んだことが無い私自身の風邪治療法をお話します。まず、風邪にかかったかなと感じた場合。これは、喉が少し痛い、だるい、なんとなく、、と感じた時ですが、麻黄湯という漢方薬をお湯に溶かして飲みます。そしてなるべく早く帰宅して、早く寝る。麻黄湯は食前もしくは食間に飲むのですが、普通は2、3回服用すると症状は無くなります。もしも途中から鼻水が出てきた場合には、小青竜湯に変更したり、麻黄湯服用しながら西洋薬の鼻水どめを使ったりします。大切な事は、微熱があるような時に解熱鎮痛剤を使用しないことです。
たかが風邪、されど風邪。上手に対応して行きましょう。