一般的に、「身体が硬い」より「身体が柔らかい」方が優れている、と言う印象を持たれがちではないでしょうか?たしかに身体が柔らかければ身のこなしが軽くなるので、スポーツのパフォーマンスがあがったり、ダンスなどをされる方はより表現が豊かになったり、という事が言えるかもしれません。
ヨガの側面からお話をすると、「身体が硬い」ということをあまりネガティブにとらえる必要はありません。身体が硬い原因は様々ですが、その方のその時の身体の調子で、大きな怪我をしないように動きを制限させているということも言えます。ですから、許容範囲を超えた無理なストレッチを行うとたちまち身体は悲鳴をあげ怪我につながり余計に身体は固まっていくという悪循環になってしまう場合もあります。
大切なのは、今のご自身の身体の状態をきちんと見ていく事です。たとえば下半身の柔軟性がわかりやすい「前屈」ですが、その時の身体の調子を無視してしまい頑張って身体を曲げてみた場合どんな事がおきるかというと、不自然な背骨のカーブや力みから来る首肩腰のコリや痛み、また太ももやふくらはぎの裏の筋肉を傷める恐れもあります。そのようにストレッチを行うと、ストレッチは苦痛なものになってしまいます。
ひとりひとり、その日その日で体調は変化します。ヨガクラスで「前屈」の動きをする場合は個々の状況を見極めたうえで、その方にとっての正しい前屈の動きをご案内させていただいております。ヨガではいわゆる「ストレッチ」となる動きを「リラックス」として行う事が多々あります。
正しいポジションと呼吸との連動、そしてご自身の身体との相談ができていればストレッチは快適なものになります。無理なストレッチ運動はあまりおすすめできませんが、適度な柔軟性をつける事は日常生活やスポーツをする際の動きが軽やかになり怪我予防になりますし、なんと言っても、身体が軽やかになると同時に心も柔らかく軽やかになり、日々の生活がより快適になります。
ヨガ=柔軟性、という風に思われがちですが、ヨガは身体を柔らかくしたり上手にヨガポーズができるようになったりする事が目的ではありません。今その瞬間のご自身の身体と心の調子を客観視し、心身をコントロールする練習をしていく中で、日々の生活を快適にすごすためのツールです。
練習を続けていると、難しかったポーズができるようになったりスタイルが良くなってきたり・・・!というお楽しみも付いてきますが、そこはあくまでも「オマケ」くらいに考えていただき、ぜひ自由な気持ちでヨガを楽しんでみてください!