当院では一般の方からいただいた身近な疑問に、西洋医学的な見解からどなたでも理解できるよう簡単明快にお答えしています。
Q・胃がんリスク検診(ABC検診)を受けたところ精密検査が必要だと言われました。もしかして胃にがんがある、ということなのでしょうか?
A・胃がんリスク検診(ABC検診)はヘリコバクター・ピロリ菌感染の有無を調べる血液検査と胃粘膜の萎縮(老化)を調べる検査(ペプシノゲン法)を組み合わせて胃がんになりやすいかどうかを判断する検診で、がんを発見することはありません。胃の中にピロリ菌が長期にわたって住み着き、胃粘膜の萎縮が進むほど胃がんの発生率が高くなります。
同検診を受けると、診断結果によりA群からD群の4つのグループに分類されます。
A群はピロリ菌感染がなく胃粘膜の萎縮もありません。この群からはほとんど胃がんが見つからず、他の胃の病気になる危険性も低いと考えられます。しかし発生率がゼロという訳ではなく、食道や十二指腸など胃以外の病気のリスクがないという訳でもありません。
B群はピロリ菌感染があり、胃粘膜の萎縮は軽度です。ピロリ菌の除菌が必要です。
C群は中等度、D群は高度に胃粘膜が萎縮しており、胃がんのリスクが高い群です。D群は胃粘膜の萎縮が進行したため、ピロリ菌が住めなくなっている状態です。
検診後に精密検査が必要と言われた方は専門医に相談した上で内視鏡検査を受けピロリ菌除菌治療を行うと良いでしょう。治療後も定期的な経過観察が必要です。万が一がんが見つかったとしても、早期であれば手術をせずに内視鏡で治療することが可能です。定期的な内視鏡検査が胃がんの早期発見には大切です。