昨年12月に中国から始まった「新型コロナウイルス感染症」は、現時点(2020年4月7日)で181の国・地域で計121万人以上の感染が確認され、6万8000人以上の尊い命が奪われました。わずか数ヶ月で地球全体に広がった感染症は「パンデミック」宣言され、私達は毎日見えない敵と戦う事を強いられています。まだまだ続くこの戦いをいかに戦い抜くか。診察室でよく質問される内容を中心にお話します。
この新型コロナウイルスがどこからきたのか?そんな事はもうどうでも良い事態になっています。最初はインフルエンザよりも少し悪いくらいに考えられていましたが、現実にはインフルエンザよりもかなりたちが悪いウイルスです。大雑把にいうと、100人の人が感染すると25人は無症状です。残り75人のうち60人の人は発熱や咳などの症状が出ますが、病院での治療が必要ない人達。残り15人はいわゆる重症肺炎で、酸素吸入や人工呼吸器などが必要となり、その中の数人が亡くなっています。
ウイルスは他人から感染するため、他人に会わないで自宅に居れば大丈夫なのです。しかし、自宅でずっと過ごすことは不可能ですから、外出する時にはマスクをして手指消毒を心がける事が大切です。日常生活上のマスク装着に感染予防効果があるという科学的根拠はありませんが、感染している人がマスクをすることによって病原体(新型コロナウイルス)の拡散が少なくなります。私はクリニックのスタッフに「目の前に居る人はみんなコロナ。自分もコロナ。そう思って行動してください」と言っています。「誰も感染しない感染させない」ようにすれば、ウイルスは生きて行けないのですから。
テレビ等で強調している3密を避ける行動は、社会全体の感染者増加を抑えるために大切な行動指針です。3密とは「密集」「密閉」「密接」の事です。新型コロナウイルスの感染は、集団感染(クラスター)で拡がっているという特徴があります。そのため、多くの人が集まる「密集」を避ける事が必要です。特に、換気の悪い部屋(密閉)ではウイルスを含んだ水滴(飛沫やエアロゾル)が空中に留まりやすいため、そうした空間に居ることは避けるべきです。特にそうした密閉空間で声を出したりすると、飛沫やエアロゾルがたくさん空中を漂うことになり危険です。そして、たとえ室外であっても、近い距離(概ね2メートル以内)で話をしたり、握手等で触れ合う(密接)と飛沫を吸い込んだり、皮膚に付着したウイルスが目や鼻、口から入ることで感染します。常に自分の居る環境が「感染する可能性があるか否か」を判断し、危ないと感じたら逃げる事が大切です。
現在、以前のように風邪症状で医療機関にかかる事が出来なくなっています。それは、風邪と新型コロナウイルス感染症とを見分ける事が出来ないからです。皆さんの中には、その事をとても不安に感じている方もいらっしゃると思います。何か風邪のような症状が出たら、まずはクリニックに電話で相談してください。内容に応じて可能な処置をいたします。
最後に、この新型コロナウイルス感染症はいつまで続くのか。残念ながら完全収束の時期は全く不明です。感染して抗体を持つ人が全人口の6割以上になるか、あるいは有効なワクチンが開発されるのが早いかの勝負でしょうか。
一人一人が感染しない最大限の努力をしながら、なるべく通常の日常生活をしたいものです。