夏季に発症する食中毒は細菌性食中毒がほとんどです。
2016年の厚生労働省食中毒統計の報告によりますと、原因細菌は頻度の高いものから、カンピロバクター、ウエルシュ菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、および病原大腸菌の順になっています。
腹痛、下痢、嘔吐、発熱など体調不良を感じた場合は、医療機関を受診しましょう。細菌性食中毒には、細菌に含まれる毒素によって起こる毒素型食中毒と細菌の感染・増殖によって起こる感染型食中毒の2種類があります。
毒素型食中毒は細菌の毒素が体に影響を与え、細菌の増殖する時間が必要ないため、早期に発症します。一方、感染型食中毒は細菌増殖に時間を要するため、発症まで少し時間がかかります。この発症までの期間を潜伏期間といいます。
〈細菌性食中毒の主な原因菌〉
カンピロバクター
[潜伏期間] 2~7日
[原因食品] 食肉(特に鶏肉)、井戸水、沢水
[特徴] 加熱や乾燥に弱く、10℃以下の低温でも長時間生存し少量の菌量でも発症します。
ウエルシュ菌
[潜伏期間] 6~18時間(通常12時間程度)
[原因食品] 大量に加熱調理された後、長時間室温に放置される食品が原因になることが多い。
[特徴] 耐熱性の芽胞を作るので、熱に非常に強く、酸素の少ないところでしか発育できない。
サルモネラ菌
[潜伏期間] 12~24時間
[原因食品] 鶏卵、食肉などの畜産食品、うなぎ、スッポン
[特徴] 熱に対しては比較的弱く、乾燥に対しては抵抗性があります。
黄色ブドウ球菌
[潜伏期間] 1~6時間(通常3時間程度)
[原因食品] おにぎり、弁当類、生菓子(特にシュークリーム)
[特徴] 手のあかぎれ、皮膚の化膿巣などに存在します。菌自体は熱に弱いのですが、黄色ブドウ球菌毒素は100℃、30分の加熱でも破壊されません。
病原性大腸菌
[潜伏期間] 2~7日
[原因食品] 家畜などの糞便に汚 染された食品・食肉・水
[特徴] 腸管出血性大腸菌はベロ毒素を作り、少量の菌量で発症します。
〈 食中毒予防の三原則 〉
① 細菌をつけない〔清潔・洗浄〕
手指や料理器具類の洗浄・消毒、食品の保存方法などに注意しましょう。
② 細菌を増やさない〔迅速、冷却〕
食品についた細菌は時間の経過とともに増えるので、調理後は早く食べることが大切です。
③ 殺菌する〔加熱、殺菌〕
加熱はもっとも効果的な殺菌方法です。調理器具は洗浄した後、熱湯や塩素剤などで消毒しましょう。