「便秘で困っている方へ」  柳川 健

~便秘で困っている方へ~

便秘は、3日以上排便がないか、毎日排便があっても出きらないような違和感
があるものを言います。男性よりも女性に多くみられます。

一般的には長期に渡って便秘に悩んでいる方が多いのですが、もともと便秘で
はなかったのに最近便秘になってきたという場合には特に注意が必要です。
その場合には、まずは大腸内視鏡検査を行う事によって、大腸内を便が通過し
にくいような病変がないことを確かめる必要があります。

内視鏡検査で異常がない場合には、便秘を引き起こすような全身の病気
(たとえば甲状腺機能低下症)の有無を調べます。
よく経験するのは、高血圧の治療薬や胃薬を服用してから便秘になった方や、
今の季節ですと花粉症の薬を飲んでから便秘になっている方も少なくありません。


そうした全身の病気や薬によるものではない場合には、食生活や排便習慣、
運動などの生活習慣を改善して頂くとともに、なるべく長期に使用しても問題と
ならないような薬を中心に薬物治療を行います。

 

市販の便秘薬を長期に渡って使うことはお勧めできません。
市販の便秘薬の多くにセンナなどの腸に対して刺激的に働く成分が入っており、
長期に連用すると腸の働きが低下してしまう事があるためです。

 

同じ便秘であっても、その原因が患者さんによって異なるため、使う薬や生活上
の注意点も変わってくるのです。

 

便秘は重大な病気のサインであることもありますので、特に最近になって便秘が
生じてきた方は早めに大腸内視鏡検査をお受け下さい。
また慢性的に便秘でお悩みの方は、市販薬を長期連用することなく診察の時に
ご相談ください。

「漢方とメンタルヘルス」  手塚健太郎  

 

東洋医学には「気」「血」「水」という概念があります。
健康な状態では、これらが体に過不足なく存在し滞ることなく流れ巡っていて、
大まかに言うと、何らかの原因でこれらの流れが滞ったり不足したりした時に、
様々な不調が生じると考えられています。

漢方医はこの理論に沿って、目の前の患者さんの体の中で滞ったり不足したり
しているものと、その時の患者さんの持っている強さ(≒体力)とを見極め、
適切な漢方薬を処方して治療を行います。

東洋医学の古典を読むと、古来「気」「血」「水」の滞りや不足を起こす原因の多くは、
細菌やウイルスなどの感染症、打撲や外傷、厳しい気候、飢餓、肉体疲労などだった
のですが、文明が進んだ現代では人間を取り巻く社会が複雑化した結果、これらに
代わって精神的なストレスの占める割合が大きくなっていると感じます。

特に「気詰まりな人間関係」などから来る精神的なストレスによって、
「気」の流れの滞りが生じやすく、これが長く続くと「気」の不足や「血」「水」の異常も
伴ってくるように感じます。

「気」の滞りのことを東洋医学では「気うつ」と呼び、
これは現代精神医学で言う「抑うつ状態」に非常に近似した状態(完全に一致するものではありませんが、イメージとして共通するところは多い)です。

東洋医学的な視点で、特にこの「気うつ」に着目して「気」「血」「水」のバランスを整える
治療を行うことは、このような現代人のメンタルヘルスの向上に有用だと考えています。

また、精神的なストレスは、俗に言う「気晴らし」の一つとして、一人で抱え込まず気心の
知れた相手に話を聴いてもらうなどすると少し楽になるものですが、人間関係が希薄に
なった現代では気軽に悩みを相談できる相手に恵まれにくい方も多いと思われます。

漢方診療の中で、精神科医としての経験もいかしてお話を伺うことで、
漢方薬の効果をさらに高められればと考えています。

 


 

Doctor's Fileに掲載されました!

横浜エリアの総合医療情報サイト『Doctor's File』に柳川理事長の記事が掲載されました!!

 

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ケンズニュース 5・6月号

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「喉に違和感があります。これって食道ガン?」  柳川 健


喉に詰まったような異物感や違和感を訴えて来院する方が増えています。
耳鼻科の先生からの上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)依頼の多くが、
この喉の違和感の精密検査目的です。

耳鼻科の先生が診察できる咽頭喉頭部(いずれも喉の場所)には異常が
ないため、食道を診察して欲しいとの依頼です。

喉に何かが詰まったような感じを訴えて来院される方の中には、食道ガン
を心配されている方も少なくありません。

食道ガンの場合には食事中に食べ物が喉へ、つかえるような違和感が
あるのですが、食事中以外には違和感がないことがほとんどです。 
一方、喉の違和感や異物感を訴えて来院される方の多くは、食事中には
気にならないにも関わらず、テレビを観ている時など何気ない時に違和感、
異物感を感じるのです。典型的には、喉にピンポン玉のようなものが詰まって
いて落ちて行かないような感じであると訴えます。 

この症状は古代ギリシャ時代から記載があると言われ、18世紀に「ヒステリー球」
と命名されたものです。東洋医学では、梅の種に例えて「梅核気」と呼びます。

この場合、内視鏡検査で咽喉頭、食道に異常所見はありません。何もないのに違
和感があるのは、原因が心因性のものであるからです。
不安感や心理的葛藤がある場合にこの症状は起こりやすいとも言われています。

この症状を訴えてこられる方の中には、食道ガンがあることを心配されている方も多く、
内視鏡検査で何もないことが分かっただけで症状が軽くなることもあります。

しかし多くの場合には、漢方薬や西洋薬の不安を和らげる薬を使う事に
よって症状が消失します。お悩みの方は一度ご相談されることをお勧めします。

「花粉症に役立つ漢方薬」  小尾 龍右

今年は例年よりも花粉の量が多いそうです。
花粉症でお困りの方も多いと思いますが、漢方では
どのように治療するかお話ししたいと思います。

花粉症の典型的症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりです。
花粉症に対する代表的漢方薬である小青竜湯は麻黄、
甘草、桂枝、五味子、半夏、芍薬、乾姜、細辛の8つの
生薬を混合して作ったものです。
料理に例えるなら、8つの食材を一定の比率でミックス
してのせたミックスピザのようなものといえます。

この8つの生薬の作用を簡単に説明すると、麻黄と甘草
は鼻水や鼻づまりを抑え、桂枝、五味子、半夏はくしゃみ
を抑えます。芍薬は血のめぐりを改善し、乾姜、細辛は肺を
温め、複数の生薬が協力して花粉症の症状を抑えます。
鼻の症状なのに、肺を温めたり、血のめぐりを改善する生薬
が入っているのはなぜでしょうか。
その理由は、冷たい空気を吸うと肺が冷えて血の巡りが悪く
なり、それをきっかけに鼻炎になる場合があるからです。
今起こっている鼻炎症状を治すだけでなく、鼻炎を予防する
治療も同時に行っているところが漢方治療の特徴です。

さらに、漢方治療に一貫する治療哲学は「和」の心です。
聖徳太子が「和をもって貴しとなし、さからうこと無きを宗とせよ」
と言ったように、それぞれの生薬が個性を主張しながら争いません。
8つの生薬が協調して治療効果を発揮しているのです。
漢方薬を服用されるときは「和」の精神で、心身の「和」のみならず、
人の「和」、社会の「和」にも心を向けて頂ければ、漢方医として
嬉しく思います。
(当院の一般的な治療方針として紹介しています。漢方治療は、
個人により処方や対応が異なります)

ケンズニュース 3・4月号

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柳川クリニックからのお知らせ

 

平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により
被害を受けられた皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。
被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。 

計画停電に伴うお願い

このたびの地震の影響で
計画停電が発表されております。      
それに伴い停電中は診療が行えないため、
患者さまには様々なご迷惑をお掛けいたしておりますが、
何卒ご協力の程よろしくお願いいたします。

診療・検査の予約変更等についてはお電話にて対応させて
頂いております。

ご不明の点はお問い合わせください。

電話番号:0467-33-0857

「早期大腸ガンの症状は"無症状"」  柳川 健

 

大腸ガンになれば症状が出てくると信じている人が多い事に驚きます。

先日も50歳を過ぎてまだ一度も大腸内視鏡検査を受けていない方に検査を勧めると、「便通もいいし血便も出ないし、腹痛もないし・・」と検査を受けなくとも大丈夫とおっしゃいました。

 

大腸に限らず、早期のガンは通常症状が何もないということがまだまだ周知されていない事に驚きます。大腸ガンも進行ガンになってから、腹痛や血便、便が細くなるなどの症状が出て来ます。

また、便潜血検査の場合にも、進行ガンがあれば2回のうち1回は陽性になりますが、早期ガンやガン化する前のポリープの場合には2回とも陰性であることも珍しくはありません。

 

日本では大腸ガンによる死亡患者数は年々増えており、女性においてはガン死亡の原因のトップが大腸ガンです。無症状のうちに定期的に大腸内視鏡検査を受け、ポリープ切除をしておけば、ほとんどの大腸ガンは予防出来るのです。

 

50歳を過ぎたら大腸内視鏡検査を受けてください。もしも肉親に大腸ガンになった方がいらっしゃる場合には40歳から大腸検査を始めた方が良いと言われています。

 

大腸内視鏡は苦痛を伴う検査という印象を持っている方が多いのですが、内視鏡装置の改良もあり、熟練した内視鏡医が施行すれば苦痛なくお受け頂けます。少しの勇気を持って、専門医療機関を受診されることをお勧めします。

 

当院では皆様の仕事への支障を避けるため、土曜日・日曜日の検査も実施しておりますのでご利用ください。

 

 

タウンニュース元旦号の記事「早期大腸ガンの症状は"無症状"」

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