内視鏡検査について

ピロリ菌は胃ガンの原因?   柳川 健


ピロリ菌は正式にはヘリコバクター・ピロリ菌と呼ばれ、
胃の中に感染する菌として1984年に発見された細菌です。
慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍を引き起こす菌であり、
米国では、1994年から潰瘍の患者さんの除菌療法(細菌を殺す治療)
を行うようになりました。

胃ガンとの関係も深く、胃ガン患者の9割以上がピロリ菌陽性であること、
動物実験でピロリ菌を感染させると胃ガンが発生することなどから、
ピロリ菌は胃ガンを発生させる危険因子として注目されています。
日本人には胃ガン発生が多いことが昔から知られていますが、
日本人にピロリ菌感染率が高いことと密接に関係していると考えられています。

みなさんが心配されるのは、「ピロリ菌がいると必ず胃ガンになるのか」
ということではないでしょうか?
「ピロリ菌がいる人のほとんどが胃ガンにならない」ということを知ってください。
胃ガン発生には、遺伝的要素、環境的要素(食生活などの生活習慣)、
ピロリ菌の種類が関係しているため、ピロリ菌がいても必ず胃ガンになるわけでは
ありません。むしろ、ピロリ菌がいても胃ガンにならない人の方が多いのです。
 
ではピロリ菌がいても放置してよいのでしょうか。
ピロリ菌がいる人は慢性胃炎が強く、以前から胃の調子が良くないという事が多いのです。
したがって、胃の調子が悪い人はたとえ若年者であっても内視鏡検査(胃カメラ)を受け、
慢性胃炎の状態、潰瘍の有無、ピロリ菌の有無を検査することをお勧めします。
(潰瘍がない場合には保険適応はありません)
 
潰瘍があってピロリ菌が陽性の場合、若年者ほど除菌療法をすることをお勧めします。
そのことにより、少しでも胃ガン発生の危険性が減らせれば幸いであり、
また胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発予防、慢性胃炎からくる諸症状が改善されることが
期待されるからです。ピロリ菌の事が心配な方は、是非ご相談ください。  

便潜血検査で陰性(マイナス)であれば大腸ガンは心配ないのでしょうか?

 

現在検診で行われている便潜血反応は、人の赤血球に対して反応する
検査で、食事の影響(たとえば牛肉を食べた翌日など)で陽性に出ること
はありません。
つまり便潜血反応が陽性になった場合、便の中に人の赤血球が入って
いることを意味しています。

極端にいえば口唇から肛門まで、食べ物が通過する場所のどこから出血
していても陽性になり得ます。胃など口に近い所からの出血は赤血球が
変性して陽性になりにくい場合もあるため、一般的には「大腸ガン検診」
として便潜血反応が行われています。
しかし実際には胃ガンや食道ガンでも陽性になる事は少なくありません。
便潜血反応は、進行性大腸ガンの場合9割、早期大腸ガンの場合は5割
が陽性になると言われます。したがって、2回の便潜血反応を行った場合、
大腸ガンがあれば1回は陽性になる可能性が高いと言えます。
ただし、大腸ガンになる前のポリープでは陽性にならないことも多いため
注意が必要です。便潜血反応が1回でも陽性になれば、大腸内視鏡検査
か注腸検査(バリウム検査)が必要であり、決して3回目の便潜血反応で
判断をしたりしてはいけません。
また、痔のためだと自己診断して放置する方もいますが、非常に危険な事
であると思います。2回の便潜血反応が陰性であっても完全に大腸ガンの
可能性が否定されたわけではありませんので、あまり楽観的に考えない方
がよいと思います。

40歳を過ぎたら一度は大腸内視鏡検査を受け、将来的にガン化する可能性
のある大腸ポリープや大腸ガンがない事を確認することが大切です。

大腸内視鏡検査は決して苦しい検査ではありませんので、まずは専門医に
ご相談ください。

                                    (柳川 健)

「喉に違和感があります。これって食道ガン?」  柳川 健


喉に詰まったような異物感や違和感を訴えて来院する方が増えています。
耳鼻科の先生からの上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)依頼の多くが、
この喉の違和感の精密検査目的です。

耳鼻科の先生が診察できる咽頭喉頭部(いずれも喉の場所)には異常が
ないため、食道を診察して欲しいとの依頼です。

喉に何かが詰まったような感じを訴えて来院される方の中には、食道ガン
を心配されている方も少なくありません。

食道ガンの場合には食事中に食べ物が喉へ、つかえるような違和感が
あるのですが、食事中以外には違和感がないことがほとんどです。 
一方、喉の違和感や異物感を訴えて来院される方の多くは、食事中には
気にならないにも関わらず、テレビを観ている時など何気ない時に違和感、
異物感を感じるのです。典型的には、喉にピンポン玉のようなものが詰まって
いて落ちて行かないような感じであると訴えます。 

この症状は古代ギリシャ時代から記載があると言われ、18世紀に「ヒステリー球」
と命名されたものです。東洋医学では、梅の種に例えて「梅核気」と呼びます。

この場合、内視鏡検査で咽喉頭、食道に異常所見はありません。何もないのに違
和感があるのは、原因が心因性のものであるからです。
不安感や心理的葛藤がある場合にこの症状は起こりやすいとも言われています。

この症状を訴えてこられる方の中には、食道ガンがあることを心配されている方も多く、
内視鏡検査で何もないことが分かっただけで症状が軽くなることもあります。

しかし多くの場合には、漢方薬や西洋薬の不安を和らげる薬を使う事に
よって症状が消失します。お悩みの方は一度ご相談されることをお勧めします。

「早期大腸ガンの症状は"無症状"」  柳川 健

 

大腸ガンになれば症状が出てくると信じている人が多い事に驚きます。

先日も50歳を過ぎてまだ一度も大腸内視鏡検査を受けていない方に検査を勧めると、「便通もいいし血便も出ないし、腹痛もないし・・」と検査を受けなくとも大丈夫とおっしゃいました。

 

大腸に限らず、早期のガンは通常症状が何もないということがまだまだ周知されていない事に驚きます。大腸ガンも進行ガンになってから、腹痛や血便、便が細くなるなどの症状が出て来ます。

また、便潜血検査の場合にも、進行ガンがあれば2回のうち1回は陽性になりますが、早期ガンやガン化する前のポリープの場合には2回とも陰性であることも珍しくはありません。

 

日本では大腸ガンによる死亡患者数は年々増えており、女性においてはガン死亡の原因のトップが大腸ガンです。無症状のうちに定期的に大腸内視鏡検査を受け、ポリープ切除をしておけば、ほとんどの大腸ガンは予防出来るのです。

 

50歳を過ぎたら大腸内視鏡検査を受けてください。もしも肉親に大腸ガンになった方がいらっしゃる場合には40歳から大腸検査を始めた方が良いと言われています。

 

大腸内視鏡は苦痛を伴う検査という印象を持っている方が多いのですが、内視鏡装置の改良もあり、熟練した内視鏡医が施行すれば苦痛なくお受け頂けます。少しの勇気を持って、専門医療機関を受診されることをお勧めします。

 

当院では皆様の仕事への支障を避けるため、土曜日・日曜日の検査も実施しておりますのでご利用ください。

 

 

「なぜ内視鏡検査を楽に受けていただきたいのか?」  小尾 龍右


当クリニックでは内視鏡検査を楽に受けていただけるように
努力しています。

 

適切な鎮静剤の使用と丁寧な内視鏡挿入技術を駆使して、
二度と受けたくないという感想を持たれないように日々努力
しています。その目的は二つあります。

 

一つは正しい診断と治療のためです。
ポリープ、癌、炎症などさまざまな病気がありますが、
患者さんが苦しがっていれば検査を担当する医師も
それに気をとられ、観察が不十分になる恐れがあります。
また苦しさの余り、患者さんの体が動いてしまうと処置の際に
手元が狂い、治療に支障が出ることもあります。
このようなことを防ぐために、検査を楽に受けていただくように
努力しています。

 

もうひとつの目的はなるべく多くの方に検査を受けていただきたい
からです。内視鏡検査を受けることにより癌を早期発見、早期治療
してお元気で過ごして欲しいからです。
発見が遅ければ大がかりな開腹手術や抗がん剤治療が必要になる
ことがあります。それを避ける唯一の方法が早期発見、早期治療なのです。

 

ところが一般的に内視鏡検査は辛いという評判が定着しています。
そのため何らかの症状を抱えているのに検査を避けて過ごしている方が
あります。そして、苦しい症状に耐えられなくなって検査を受けにいらした
時はすでに進行癌となっており、辛く長い癌治療を受けることになってし
まったという方が今でもおられます。

 

もし、内視鏡が辛い検査ではないと知っていたら、その患者さんの
人生は違ったものになったはずでしょう。

 

日本の内視鏡診断、治療技術は世界でもトップクラスです。
日本には人生を変えることが出来る医療技術があるのに、
それを享受されていない患者さんがいることを非常に残念に思います。

 

そのため、私たちは内視鏡検査は楽に受けられるということを
患者さんに実感して頂き、なにか胃腸の具合がおかしいと感じたら
気軽に検査を受けて欲しいと思っています。
ひいては、進行癌で悩む方が一人でも減ることを願っています。
         

腹痛で悩んでいる方へ  柳川健

 

当院には胃腸症状の方が多く来院されます。

「胃が痛い」、「下腹部が痛い」、「お腹全体が張るように痛む」。症状は様々ですが、お腹の痛みで悩んでいる方は少なくありません。お腹の痛みが頻繁にある方は年齢に関わらず、内視鏡や超音波検査などの検査をお勧めします。

 

胃潰瘍や十二指腸潰瘍、腸の炎症などが見つかることもあり、特に胃にピロリ菌が生息して潰瘍を繰り返している方は、ピロリ菌を除菌することで腹痛が嘘のように無くなってしまう事もあります。腸の炎症の病気が診断されれば、必要に応じて薬を服用することで腹痛が良くなることも少なくありません。 

 

胃腸の内視鏡検査や超音波検査・CT検査も全て異常がないのに腹痛が続いている。そんな方もしばしばご来院されます。腹痛の原因として少なくないのが「機能性」の異常です。 胃や腸は動きのある臓器ですが、その動きに異常があるために腹痛が起こるのです。機能の異常ですから、内視鏡検査などでは異常所見がありません。薬を使って胃腸の動きを調節すると痛みがなくなります。そして、時にこの機能の異常と、同時に存在する腹痛の原因が「心因性」のものです。うつ病や不安障害などがあり腹痛を伴っている人もいますが、そうした病気がないのに腹痛が精神的な原因で起こる事があるのです。一般的には30歳前の比較的若い時期に症状が出てくることが多いもので、腹痛以外の痛み(頭痛や胸痛など)にも悩んでいることもあります。

 

胃潰瘍などの内視鏡診断から、心因性の腹痛まで、当院では幅広い診療を提供しています。腹痛でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

苦しくない胃内視鏡検査(胃カメラ)で食道ガン検査も 柳川 健

最近有名人が食道ガンになったことを公表し、食道ガンの問い合わせが増えています。
「胃の内視鏡検査を受けているが食道も見ているか」「食道ガンは診断が難しいと聞いたが大丈夫か」

など、皆様の不安を強く感じます。

 

食道は口(正確には咽頭)と胃をつなぐ約25㎝の管状の臓器です。

したがって胃内視鏡検査(正確には上部消化管内視鏡検査)の際には食道の観察もしています。

 

しかし胃ガンと同様に食道ガンも早期での発見が時に難しいことがあります。

とくに食道ガンでは出っ張ったり凹んだりしない早期ガンが比較的多いため、

従来の内視鏡検査や最近の経鼻内視鏡では見つかりにくいのです。 

 

そこで当院では、NBI(狭帯域光観察)という特殊な光と拡大観察によって
表面構造を強調して観察する装置を導入しています。

さらに50歳以上の男性で食道ガンになる危険性が高い飲酒者や喫煙者に対しては
積極的にルゴールという染色液を撒いて観察するようにしています。

この染色液を撒くと食道粘膜は茶色に染まりますがガンは染まらないので診断が容易になるのです。

 

食道ガンは50歳以上の男性で、酒とたばこが好きで、特に酒を飲むと顔が赤くなりやすい人に多く発症すると言われています。

 

年に1回の精密な胃内視鏡検査によって早く診断がつけば必ず治りますので、

勇気をもって検査を受けてください。内視鏡検査は決して苦しい検査ではありません。

 

当院では、苦しくない精密な検査を常に追求し最新の機器の導入と技術の提供を心がけています。

苦しくない胃内視鏡検査(胃カメラ) 柳川 健

「胃カメラは苦しいから受けたくない」「以前胃カメラを受けたら苦しかったから二度と受けたくない」そんな話を良く患者さんから耳にします。

 

胃内視鏡検査(胃カメラ)はどうして苦しいのでしょうか?
いくつか理由がありますが、一番多いのは喉の反射が出ることによります。俗に言う「オエッ」というやつです。
この喉の反射を抑えるために一般的に行われているのは喉の麻酔です。
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割位の方は喉麻酔だけで反射は抑えられます。
逆に言うと4割の方は喉麻酔だけでは「オエッ」となって苦しい検査になってしまいます。

 

鎮静薬という「ボー」とする薬を使うとほとんどの患者さんの反射を抑えることが出来ますので、楽な胃内視鏡検査をお受け頂けます。
鎮静薬を使用しない場合には鼻からの胃カメラ(経鼻内視鏡)であればほとんど方の場合に喉の反射が出ない検査が可能です。
しかしながら鼻からの内視鏡は口からの内視鏡に比べてカメラ(内視鏡先端にあるCCDカメラ)の精度が通常の内視鏡よりも劣るため、検査の精度に多少の問題があることも指摘されています。
また鼻出血が起こり耳鼻科を受診しなければならない事もあります。

 

検査後すぐ仕事に行く必要がある方の場合には経鼻内視鏡も「楽な検査」の一つの選択肢にはなりますが、当院では、時間に余裕を持って、鎮静薬を使った従来の口からの内視鏡検査をお勧めしたいと思います。

大腸がんの8割は予防できる

50歳以上の方でまだ一度も大腸の内視鏡検査をお受けになったことがないという方は、すぐに検査をお受けください。便潜血検査を受けて安心している、という方が多いのですが、毎年陰性であった方が下血され、検査を受けたら、進行性大腸がんであったということもあります。

まだがんになっていないポリープがあっても便潜血反応が陰性になることは珍しくありません。便潜血反応が陰性だからと言って安心してはいけません。

 

ポリープを早期に発見

大腸がんの8割は大腸ポリープが成長することによって発生すると考えられています。このポリープが、がんになるまでには通常15年以上の時間がかかるといわれています。たとえば60歳で大腸がんが見つかった人はすでに40歳の時にはポリープがあった可能性が高いのです。がんになる前のポリープ段階であれば内視鏡で比較的安全に切除することができますし、その事が大腸がんの発生を予防することになります。特に、肉親の方で大腸がんになった人がいる場合には40歳からの定期的な大腸内視鏡検査をお勧めします。

 

予防できるがん

大腸内視鏡検査は苦痛を伴うのではないかと敬遠する方が多いのですが、熟練した内視鏡医が行えばほとんど苦痛はありません。むしろ検査準備の為の下剤を服用することが辛いという患者さんが多いです。その下剤も最近では新しいタイプのものが開発され、錠剤を水やお茶で飲むものもありますので、ご相談ください。

日本人女性のがん罹患数(がんになる人の数)、死亡数ともに第1位の大腸がんは8割以上が、「予防できるがん」だということを、改めて認識していただきたいと思います。

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