胃内視鏡検査

便潜血検査で陰性(マイナス)であれば大腸ガンは心配ないのでしょうか?

 

現在検診で行われている便潜血反応は、人の赤血球に対して反応する
検査で、食事の影響(たとえば牛肉を食べた翌日など)で陽性に出ること
はありません。
つまり便潜血反応が陽性になった場合、便の中に人の赤血球が入って
いることを意味しています。

極端にいえば口唇から肛門まで、食べ物が通過する場所のどこから出血
していても陽性になり得ます。胃など口に近い所からの出血は赤血球が
変性して陽性になりにくい場合もあるため、一般的には「大腸ガン検診」
として便潜血反応が行われています。
しかし実際には胃ガンや食道ガンでも陽性になる事は少なくありません。
便潜血反応は、進行性大腸ガンの場合9割、早期大腸ガンの場合は5割
が陽性になると言われます。したがって、2回の便潜血反応を行った場合、
大腸ガンがあれば1回は陽性になる可能性が高いと言えます。
ただし、大腸ガンになる前のポリープでは陽性にならないことも多いため
注意が必要です。便潜血反応が1回でも陽性になれば、大腸内視鏡検査
か注腸検査(バリウム検査)が必要であり、決して3回目の便潜血反応で
判断をしたりしてはいけません。
また、痔のためだと自己診断して放置する方もいますが、非常に危険な事
であると思います。2回の便潜血反応が陰性であっても完全に大腸ガンの
可能性が否定されたわけではありませんので、あまり楽観的に考えない方
がよいと思います。

40歳を過ぎたら一度は大腸内視鏡検査を受け、将来的にガン化する可能性
のある大腸ポリープや大腸ガンがない事を確認することが大切です。

大腸内視鏡検査は決して苦しい検査ではありませんので、まずは専門医に
ご相談ください。

                                    (柳川 健)

「喉に違和感があります。これって食道ガン?」  柳川 健


喉に詰まったような異物感や違和感を訴えて来院する方が増えています。
耳鼻科の先生からの上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)依頼の多くが、
この喉の違和感の精密検査目的です。

耳鼻科の先生が診察できる咽頭喉頭部(いずれも喉の場所)には異常が
ないため、食道を診察して欲しいとの依頼です。

喉に何かが詰まったような感じを訴えて来院される方の中には、食道ガン
を心配されている方も少なくありません。

食道ガンの場合には食事中に食べ物が喉へ、つかえるような違和感が
あるのですが、食事中以外には違和感がないことがほとんどです。 
一方、喉の違和感や異物感を訴えて来院される方の多くは、食事中には
気にならないにも関わらず、テレビを観ている時など何気ない時に違和感、
異物感を感じるのです。典型的には、喉にピンポン玉のようなものが詰まって
いて落ちて行かないような感じであると訴えます。 

この症状は古代ギリシャ時代から記載があると言われ、18世紀に「ヒステリー球」
と命名されたものです。東洋医学では、梅の種に例えて「梅核気」と呼びます。

この場合、内視鏡検査で咽喉頭、食道に異常所見はありません。何もないのに違
和感があるのは、原因が心因性のものであるからです。
不安感や心理的葛藤がある場合にこの症状は起こりやすいとも言われています。

この症状を訴えてこられる方の中には、食道ガンがあることを心配されている方も多く、
内視鏡検査で何もないことが分かっただけで症状が軽くなることもあります。

しかし多くの場合には、漢方薬や西洋薬の不安を和らげる薬を使う事に
よって症状が消失します。お悩みの方は一度ご相談されることをお勧めします。

慢性胃炎の変な話   小尾 龍右

胃の内視鏡検査を受けた方で慢性胃炎と言われた方があるとおもいます。

ところが、「慢性胃炎は治療の必要はありません」と言われて納得できなかった、

という方はいらっしゃいませんか?

 

結論から申し上げると、原則的に慢性胃炎は腹痛、胃もたれ、吐き気などの自覚症状がなければ治療の必要はありません(もちろん例外はあります)。

 

その理由をご説明します。

内視鏡で観察しているのは胃の粘膜です。これを皮膚に例えましょう。皮膚の状態は皆さんそれぞれに違います。年齢、性別、生活環境、体質によって皮膚はいろいろな状態を呈しています。赤ちゃんの皮膚と比べれば、大人の皮膚はみなシワシワに萎縮しています。擦れて赤みが出やすい部分もあります。

皮膚を肉眼で見るだけでなく顕微鏡で拡大して見ると、色素沈着、亀裂、乾燥があり炎症していることがわかります。しかし、それをすべて皮膚炎として治療しないのは、かゆみ、出血、痛みなどの自覚症状がないからです。

 

それと同じで胃の粘膜を内視鏡や顕微鏡で観察してみると年齢や食習慣などに応じて様々な慢性の変化が認められます。しかし、その多くは健康を害するほどではないので、慢性胃炎という病名が一応付きますが原則的に治療の必要はないのです。治療の必要があるかどうかは検査の結果だけでなく、

症状の経過、服薬状況、年齢、胃粘膜の状態をみて内視鏡専門医が総合的に判断していますのでどうぞご安心ください。

 

これで慢性胃炎と病名がついても治療が不要と言われるのはなぜか?理由がお分かりいただけたでしょうか。 

 

ところで、本当の名医は人間の医者ではなくて獣医さんだと思うことがあります。

動物は症状の経過を話すことが出来ませんから、治療のための判断材料が少ないのです。

それでも病気を治しているのですから、獣医さんのほうがよほど優れているなと思います。

 

苦しくない胃内視鏡検査(胃カメラ)で食道ガン検査も 柳川 健

最近有名人が食道ガンになったことを公表し、食道ガンの問い合わせが増えています。
「胃の内視鏡検査を受けているが食道も見ているか」「食道ガンは診断が難しいと聞いたが大丈夫か」

など、皆様の不安を強く感じます。

 

食道は口(正確には咽頭)と胃をつなぐ約25㎝の管状の臓器です。

したがって胃内視鏡検査(正確には上部消化管内視鏡検査)の際には食道の観察もしています。

 

しかし胃ガンと同様に食道ガンも早期での発見が時に難しいことがあります。

とくに食道ガンでは出っ張ったり凹んだりしない早期ガンが比較的多いため、

従来の内視鏡検査や最近の経鼻内視鏡では見つかりにくいのです。 

 

そこで当院では、NBI(狭帯域光観察)という特殊な光と拡大観察によって
表面構造を強調して観察する装置を導入しています。

さらに50歳以上の男性で食道ガンになる危険性が高い飲酒者や喫煙者に対しては
積極的にルゴールという染色液を撒いて観察するようにしています。

この染色液を撒くと食道粘膜は茶色に染まりますがガンは染まらないので診断が容易になるのです。

 

食道ガンは50歳以上の男性で、酒とたばこが好きで、特に酒を飲むと顔が赤くなりやすい人に多く発症すると言われています。

 

年に1回の精密な胃内視鏡検査によって早く診断がつけば必ず治りますので、

勇気をもって検査を受けてください。内視鏡検査は決して苦しい検査ではありません。

 

当院では、苦しくない精密な検査を常に追求し最新の機器の導入と技術の提供を心がけています。

苦しくない胃内視鏡検査(胃カメラ) 柳川 健

「胃カメラは苦しいから受けたくない」「以前胃カメラを受けたら苦しかったから二度と受けたくない」そんな話を良く患者さんから耳にします。

 

胃内視鏡検査(胃カメラ)はどうして苦しいのでしょうか?
いくつか理由がありますが、一番多いのは喉の反射が出ることによります。俗に言う「オエッ」というやつです。
この喉の反射を抑えるために一般的に行われているのは喉の麻酔です。
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割位の方は喉麻酔だけで反射は抑えられます。
逆に言うと4割の方は喉麻酔だけでは「オエッ」となって苦しい検査になってしまいます。

 

鎮静薬という「ボー」とする薬を使うとほとんどの患者さんの反射を抑えることが出来ますので、楽な胃内視鏡検査をお受け頂けます。
鎮静薬を使用しない場合には鼻からの胃カメラ(経鼻内視鏡)であればほとんど方の場合に喉の反射が出ない検査が可能です。
しかしながら鼻からの内視鏡は口からの内視鏡に比べてカメラ(内視鏡先端にあるCCDカメラ)の精度が通常の内視鏡よりも劣るため、検査の精度に多少の問題があることも指摘されています。
また鼻出血が起こり耳鼻科を受診しなければならない事もあります。

 

検査後すぐ仕事に行く必要がある方の場合には経鼻内視鏡も「楽な検査」の一つの選択肢にはなりますが、当院では、時間に余裕を持って、鎮静薬を使った従来の口からの内視鏡検査をお勧めしたいと思います。

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