「喉に違和感があります。これって食道ガン?」 柳川 健
喉に詰まったような異物感や違和感を訴えて来院する方が増えています。
耳鼻科の先生からの上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)依頼の多くが、
この喉の違和感の精密検査目的です。
耳鼻科の先生が診察できる咽頭喉頭部(いずれも喉の場所)には異常が
ないため、食道を診察して欲しいとの依頼です。
喉に何かが詰まったような感じを訴えて来院される方の中には、食道ガン
を心配されている方も少なくありません。
食道ガンの場合には食事中に食べ物が喉へ、つかえるような違和感が
あるのですが、食事中以外には違和感がないことがほとんどです。
一方、喉の違和感や異物感を訴えて来院される方の多くは、食事中には
気にならないにも関わらず、テレビを観ている時など何気ない時に違和感、
異物感を感じるのです。典型的には、喉にピンポン玉のようなものが詰まって
いて落ちて行かないような感じであると訴えます。
この症状は古代ギリシャ時代から記載があると言われ、18世紀に「ヒステリー球」
と命名されたものです。東洋医学では、梅の種に例えて「梅核気」と呼びます。
この場合、内視鏡検査で咽喉頭、食道に異常所見はありません。何もないのに違
和感があるのは、原因が心因性のものであるからです。
不安感や心理的葛藤がある場合にこの症状は起こりやすいとも言われています。
この症状を訴えてこられる方の中には、食道ガンがあることを心配されている方も多く、
内視鏡検査で何もないことが分かっただけで症状が軽くなることもあります。
しかし多くの場合には、漢方薬や西洋薬の不安を和らげる薬を使う事に
よって症状が消失します。お悩みの方は一度ご相談されることをお勧めします。