慢性胃炎の変な話   小尾 龍右

胃の内視鏡検査を受けた方で慢性胃炎と言われた方があるとおもいます。

ところが、「慢性胃炎は治療の必要はありません」と言われて納得できなかった、

という方はいらっしゃいませんか?

 

結論から申し上げると、原則的に慢性胃炎は腹痛、胃もたれ、吐き気などの自覚症状がなければ治療の必要はありません(もちろん例外はあります)。

 

その理由をご説明します。

内視鏡で観察しているのは胃の粘膜です。これを皮膚に例えましょう。皮膚の状態は皆さんそれぞれに違います。年齢、性別、生活環境、体質によって皮膚はいろいろな状態を呈しています。赤ちゃんの皮膚と比べれば、大人の皮膚はみなシワシワに萎縮しています。擦れて赤みが出やすい部分もあります。

皮膚を肉眼で見るだけでなく顕微鏡で拡大して見ると、色素沈着、亀裂、乾燥があり炎症していることがわかります。しかし、それをすべて皮膚炎として治療しないのは、かゆみ、出血、痛みなどの自覚症状がないからです。

 

それと同じで胃の粘膜を内視鏡や顕微鏡で観察してみると年齢や食習慣などに応じて様々な慢性の変化が認められます。しかし、その多くは健康を害するほどではないので、慢性胃炎という病名が一応付きますが原則的に治療の必要はないのです。治療の必要があるかどうかは検査の結果だけでなく、

症状の経過、服薬状況、年齢、胃粘膜の状態をみて内視鏡専門医が総合的に判断していますのでどうぞご安心ください。

 

これで慢性胃炎と病名がついても治療が不要と言われるのはなぜか?理由がお分かりいただけたでしょうか。 

 

ところで、本当の名医は人間の医者ではなくて獣医さんだと思うことがあります。

動物は症状の経過を話すことが出来ませんから、治療のための判断材料が少ないのです。

それでも病気を治しているのですから、獣医さんのほうがよほど優れているなと思います。

 

柳川クリニック

みなとみらいケンズクリニック

カテゴリー

最新のエントリー