柳川クリニック新聞

「心の健康」 柳川健

皆さんは健康ですか。大きな病気がないから健康。特に症状がないから健康。人それぞれ健康であると感じる方法は違うでしょう。私は、自分が健康だと思っている人が健康だと常々感じています。
 身体的な症状がないということはとても大切であり、どこかが痛いという状態ではとても健康であるとは感じられません。しかし、身体的に健康であっても、気持が沈んでいて、幸福感が持てなければ、やはり健康とは言えないでしょう。身体的、精神的、両者が健全な状態でなければやはり健康であるとは言えないと思います。

 では、あなたの心は健康ですか?心の健康ってなんでしょう?難しい質問でしょうか?
質問を変えて、あなたは幸せですか。あなたには希望がありますか。いかがでしょう。
幸せではないし希望もない。という方は一度ご相談ください。少なくともそういう方の心は健康とはいえません。
 心が健康でないとどうなるでしょうか。毎日が憂鬱で楽しくありませんよね。朝起きた時から一日の始まりが億劫に感じるようでは困ります。夜も寝つきが悪くついついお酒に手を出してしまうという方もいるでしょう。気持が沈んでいると免疫力が低下しますので、風邪などの感染症にかかりやすくなり、癌にもなりやすいと言われています。たかが気持の問題と簡単に片づけてはいけないのです。

 心を健康な状態にするにはどうすればよいのでしょうか。体の健康のために、皆さんは運動をしたり食事に気をつけたりしますよね。心の健康のために何かしていますか?心の健康法について書かれた本は意外と少なく、話題になることもあまりないような気がします。
 まず考えていただきたいのは、心の状態は何が、あるいは誰が決めるのかということです。他人に悪口を言われたから元気がなくなったり、景気が悪いからうつ気味になったりする人がいます。私たち人間は、外界からの刺激によって自分自身の心の状態が変わることを知っています。では、私たちの心の状態は外界からの刺激が決めていると言ってよいのでしょうか?私は違うと思います。私たちの心の状態は私たち自身が決めていると考えています。同じ出来事であっても、人によってとらえ方、反応の仕方は違います。

 例えば、私のクリニックでは毎日大腸内視鏡検査を行い、多くの方が検査を受けておられます。時に大きなポリープが見つかり、一部がガン化していることがあります。内視鏡で切除し、その後の追加治療も必要のない、私から見ればすごく運の良い人も少なくありません。そうした場合の患者さんの反応も色々です。ガンにはなっていたけれども大きな手術を受けることもなく内視鏡治療だけで済んだことを喜ぶ人。逆に、ガンになったということで悩み、何度御説明しても再発や転移を恐れてノイローゼ状態になっていく人。人の反応は様々であることをいつも痛感しています。どちらの反応が良いとか悪いということを言っているのではありません。あなたならどういう心の状態を作っていたいかということです。

 私たちの心の状態は私たち自身が決めている。心の状態は自分自身が決める。まずはそのことを自分で決めなければ、私たちは心の健康を得ることはできないと思います。
 心の状態はあくまでも自分自身が決めること、そう決心すると色々なことが変わります。まず心が動揺しにくくなります。外界で起こることは様々です。その出来事自体が良いのか悪いのかを判断しようとすることなく、自分自身で良いと思えるように解釈することです。このことは知っていても実践することは中々難しいのですが、知らないで出来事に振り回されるよりも、知って訓練を重ねたほうが自分自身が楽に生きられるような気がします。
 「過去と他人は変えられないが、将来と自分は変えられる」私の好きな言葉の一つです。
確かに過去に起こったことは変えられませが、過去に起こったことをどのように意味付けをするかは自分自身が決めることです。つまり、過去に起こったことで、現在悪い思い出と考えていることでも、自分自身が考え方や見方を変えれば違ったものに変わりうると思うことです。すべては自分の心の中で作り上げているもの、それがその人にとっての現実の姿であると言えるのではないでしょうか。

 私は,皆さんが「健康で長生きする」ことをお手伝いすることを自分自身のミッションとしています。身体的な健康だけではなく、心の健康を作るお手伝いもしていきたいと考えています。元気が出ない、幸福感がもてないなどという方も気軽に診察の時にご相談いただきたいと思います。薬など使わなくとも、ちょっとした考え方の転換で心の状態が変わることもあるのです。場合によっては安定剤のような薬も処方することができますので、遠慮なくお話ください。

「『気』のはなし」 小尾龍右  

東洋医学には『気』の概念があります。『気』とは目に見えない、生命エネルギーであり、体を循環するものと定義されています。
 病院にいったら検査では異常が無いので、「気のせいですよ。だから大丈夫です。」と言われたことはありませんか?西洋医学では「気のせい」は「異常なし」の意味ですが、東洋医学では「気のせい」とは『気の異常』による疾病であると考えます。 
 では東洋医学でいう『気の異常』とは何でしょうか?それは、『気虚』、『気鬱』、『気逆』の3つです。気の循環を川の流れに例えると、『気虚』は川の水が不足している状態、『気鬱』は川の流れが停滞している状態、『気逆』は川の流れが逆流している状態を意味します。ですから、『気虚』だと元気がない、『気鬱』は気分が憂鬱といった症状になります。『気逆』は腹から上へ突き上げるような不快な症状となります。「腹が立つ」といいますが、これも気逆の一種です。
 それぞれの症状に応じて漢方薬や鍼灸などで治療しますが、それだけが治療方法ではありません。『気』は自分の内部だけで循環するものではなく、すべての生物がやり取りをしていますので、人と人、人と動物、人と植物同士が良い『気』をやり取りすることでも改善します。
 『気』は目に見えませんが、「言われてみれば、なんとなく感じるなぁ」と思いませんか?『気』の流れを感じるように心がけ、良い『気』がお互いに流れあうようになさってみてください。よくない『気』は海や山などに放ち、よい『気』を取り入れるようにしてください。きっといいことがあると思いますよ。

「腫瘍マーカーとがんの診断」 柳川健

皆さんがよくご存じのPSAやCEAという腫瘍マーカーが、あたかもがんを早期診断できる血液検査であると勘違いしていませんか?
 腫瘍マーカーは以前にも何回か話題にしたことがありますが、現在のところ早期診断に有用であると確定されている腫瘍マーカーは残念ながら一つもありません。
 PSAは前立腺がんの腫瘍マーカーとして50歳以上の男性の場合一度は測定したことがあるかもしれません。もちろんこのPSA高値で前立腺がんが見つかった方もいらっしゃると思います。しかし、PSAが正常であっても前立腺がんは完全には否定できず、また高値であっても前立腺がんではないことも多いのです。CEAは大腸がんや乳がんなど色々ながんの時に高値となりますが、多くの場合は進行がんになってからのことが多いのです。
 腫瘍マーカーは、外科的手術や化学療法の際に、その効果を判定するために使用するのが正しい使い方なのです。もともと診断のために使うものではないのです。そのことを知っていただいた上でご自分の腫瘍マーカーを理解していただきたいと思います。
 血液検査でがんの早期診断ができるようになることが理想的な医療だとは私も思います。しかし現状ではそうした時代はまだまだ来そうにありません。日本人に多いがん、特に胃がんや大腸がんは定期的な内視鏡検査を受けることによってほとんどの場合早期に見つかりますので、ぜひ40歳以上になったら定期検査をお受けください。

「コミュニケーションは難しい!?」 柳川健

人に自分の考えや気持ちを伝えること。あるいは人の考えや気持ちを知ること。それがコミュニケーションです。毎日、その瞬間ごとにしていることですが、このコミュニケーションがなかなか難しいと感じることはありませんか。

 コミュニケーションは、言葉を使って行うものと考えてしまいがちですが、実は身振り手振り表情体の姿勢など様々な要素を通じて行われています。  たとえば営業マンが家を訪ねてきた場合、きちんとした背広で来ることが通常です。これがたとえばポロシャツとサングラスで来たら皆さんはどうしますか。その人がたとえすごく良い人であったとしても、外見だけで怪しい人、危険人物として玄関の戸を開けないのではないでしょうか。医療においても同様で、初めて受診した病院の医師が、ジーパンにTシャツで診察をしていれば、たとえ名医であっても大丈夫かな、と不安な気持ちになりますよね。

 このように、私たちは特に初対面の場合、その人の身なりから色々なことを情報として受け取り判断することが多いのです。したがって、服装や髪型などの外見は極力整えておかなければならないでしょう。一方、人は外見で判断してはいけない、とも言われます。その人の本質は外見だけでは分からないということは事実でしょう。実際にその人と話をしたり、その人の行動を見たりしてみるとその人の良さが分かり、信頼できる人物であることが分かることもあります。逆に外見や言葉では誠実そうであっても、実際の行動に誠実さがない場合もあります。つまり私たちは外見、言葉、行動など様々なものを通じて他人とコミュニケーションをとっているのです。

 皆さんは、そんなつもりで言ったわけではないのに勘違いされた。とか、そんなことを言う人とは思わなかった、と人の言葉に傷ついたりすることはありませんか。こうしたコミュニケーションにおける勘違いは常に起こっていることで、そのことがしばしば人間関係を悪くしているのです。

 たとえば、「わたし、もうやめました」と聞いたときあなたは何を想像しますか。仕事をやめた。タバコや酒をやめた。遊びに行くのをやめた。色々なことが考えられます。今は何の脈絡もなく言葉だけを取り上げたので特に分かりにくく、何をやめたのかは全く特定することは出来ません。しかし、私たちは日常の会話のなかで、これと同じようなことを繰り返し行っているのです。話しの中で、当然相手に自分の考えが伝わると思っていった言葉が相手には全く違う内容として伝わることが起こるのです。

 私たちは現実をありのままに知ることは出来ない。現実はすべて個人のフィルターを通して認知されたものに過ぎない。と心理学では考えられています。つまり、すべてのことはその人の過去の記憶、経験等によって作られたフィルター(あるいはマップ)を通して認識されるため、正確に物事を伝えるのは難しいというわけです。このフィルターを通して私たちに情報として入ってくるのは、視覚(見て)、聴覚(聞いて)、嗅覚(におって)、味覚(味わって)、体感覚(体で感じて)からであり、どういった情報が入りやすいかはその人によって異なるのです。

 したがって、ある人にできるだけ分かりやすく物事を伝えるためには、その人が主としてどういった感覚(たとえば視覚など)からの情報を受け取るのかを知ると便利なのです。その人が話をしている時、まるで映像を見ているかのように話す人は視覚を主として使いますし、その場の音や、理屈を説明するように話す人は聴覚を主として使っているのです。慣れないとその人が何を主として使っているかを判断することは難しいのですが、大切なことは、人がある情報を受け取る方法は、個人ごとに違うのだということを知ることです。情報の受け取り方が人によって違うということを知ることはとても大切です。それを知らないことがしばしば人を誤解したりする原因になってしまうのです。

 では、人はそれぞれ情報の受け取り方が異なるということを知った上で、どうしたら上手にコミュニケーションを取ることができるのでしょうか。それは、確認をきちんとするということです。たとえば、ある人が「彼は良い人ですよね」と言ったとします。普通であれば「そうですね」と返して終わらせてしまうかもしれませんが、そこで「彼のどういうところが良いとあなたは思うのですか」と確認するとどうでしょう。「彼の優しさが良いと思う」と返事が返ってきたときに、さらに「具体的に彼のどういうところがやさしいと感じるのですか」と質問するとさらによく分かってくる、というわけです。

 長年連れ添った夫婦や仲の良い友人の場合、言わなくても分かっているだろうと考えて、ついついこの確認作業を会話の中で省略しがちです。その結果、思ってもいなかったような誤解が生じてしまうことも少なくないと思います。 人はみんな捉え方が違うということをもう一度認識したうえで、誤解のないコミュニケーションを心がけていきたいものですね。

「病気の治し方」 小尾龍右

  私が東洋医学を学ぶことを志した理由のひとつに、15年にわたる姉の気管支喘息が1年間の漢方薬の服用で完治したことがあります。家族として姉の喘息治療をみていて、西洋医学は究極の対症療法だと悟りました。発作があれば吸入や点滴をしておさめる。発作が出ないように予防薬を吸入する、薬を飲む。こういう治療が瀕死の患者を救命し、苦痛から解放したことは明白です。しかし、何年治療を続けたら病気が完治して薬が不要になるのかは予想できません。


 こういう病気は現代には多くあります。アトピー性皮膚炎、膠原病、潰瘍性大腸炎などの難病はもちろん、高血圧、糖尿病などの生活習慣病もそうです。ある糖尿病専門医が私に話してくれたエピソードがあります。患者さんから「先生のいうとおりずっと糖尿病の薬を飲んできたが、何年たっても糖尿病が治らないじゃないか!」とおしかりを受けたというのです。血糖値を下げる薬はあるが、糖尿病を完治させる治療はない。これが、西洋医学が究極の対症療法だと考えるゆえんです。一般に医師は糖尿病などの生活習慣病は一生治療を続けなければならない病気と考えています。しかし、患者さんは完治して薬が不要な体になりたいと考えています。なぜ、このような考え方の違いがうまれるのでしょうか?

 
 それは、西洋医学では目の前の症状を早く改善することを優先して薬が作られているからです。したがって、対症療法ばかりで、iPS細胞から人工膵臓を作成して糖尿病を完治させるといった根本治療はまだまだ先の話なので、現状では薬物治療で病気を抑え続けるしかないのです。誤解を生んではいけませんので説明しますが、いまある症状を改善しようという地道な積み重ねがあって、国民医療が向上してきたのであり、西洋医学を否定するものではありません。しかし、対症療法的な考え方の積み重ねの延長に根本治療、ひいては患者さんの幸福が見えてこないという現実もまたあるのです。


 たとえば風邪薬ですが、中に入っている成分はすべて対症療法の成分です。風邪はRSウイルス、ライノウイルス、アデノウイルスといったウイルス感染症です。しかし、風邪薬に抗ウイルス薬は入っていません。ウイルスですから、抗生物質も効果がありません。よく、「風邪薬をのんでも風邪が治りません」という声を聞きます。それは、風邪薬に根本的にウイルスを除去する効果がないのですから、当然と言えば当然なのです。ここにも対症療法の延長では根本治療が生まれない現実があります。ちなみに風邪を治しているのは皆さんの自己治癒力です。体のなかにいるマクロファージやリンパ球という免疫を担当する細胞がウイルスを除去し、傷ついた咽喉や気管支の粘膜は自己再生力で体内の栄養分を動員して修復しているのです。


 では、東洋医学ではどうでしょうか。東洋医学では「標治」「本治」という言葉があります。「標治」とは急性症状を改善することを目的とした治療、つまり対症療法です。「本治」とは根本治療を意味します。東洋医学が西洋医学と大きく違うのは、「標治」をしているようで同時に「本治」を常に意識しているということです。たとえば、風邪薬として有名な葛根湯ですがこのなかには葛根・麻黄・桂枝・芍薬・甘草・生姜・大棗という七種類の薬草が入っています。葛根・麻黄・桂枝・芍薬は鼻閉、関節痛、頭痛、発熱などの急性症状を取るための薬効をもっていますが、甘草・生姜・大棗は何をしているのでしょうか。これらは自己治癒力を高める効能をもっています。つまり「標治」の成分と、「本治」の成分が一緒にはいっているのです。この考え方はどんな漢方薬を選択するかに適応するだけでなく、病気に対する姿勢にも及びます。もちろん、東洋医学は万能医学ではなく治せない病気もたくさんありますが、多くの慢性病に東洋医学が役立っていることからすれば、この考え方は馬鹿に出来ないと思います。


 ここで、タイトルの病気の治し方にもどります。つまり、病気を根本的に治すには患者さん自身の治癒力を高めることが重要であるということです。対症的な治療、たとえば降圧剤や血糖降下剤などを服用することはもちろん大切ですが、御自分の食事・生活習慣の改善はもっと大切です。そして、病気は敵対するものではなく、自分自身の弱いところが出たと考えてください。誰もが弱点をもっています。その弱点を克服するために努力、精進するところに人間の価値があると思います。
 

 潰瘍性大腸炎という腸の難病があります。ある潰瘍性大腸炎の患者さんはいっさいの西洋医学的治療を拒否され、食事療法と漢方薬だけで改善しました。現代の医学では説明がつかないことですが、これは事実です。このように患者さん自身の努力がうれしい結果に結びつくこともあるのです。一方で残念ながら努力をしても良い結果に結びつかず、むしろ病気が悪化してしまい、亡くなる患者さんもおられます。医師としては明らかに無謀と思われる挑戦をする患者さんがいたら当然、諌めます。しかし、どういう治療を受けるかを自分で決断して、それにむかって努力する生き方を選んだ人のほうが(賛否両論はあると思いますが)、充実した人生を送ったと言えるのではないでしょうか。


 病気の治療は「標治」だけでなく、「本治」を目指して御自分の体に向き合い、どうすれば体が喜んでくれるかを考えながら、自分の治癒力を高めるという意識を持って、医療者と協力して治療にあたっていただきたいと思います。 (小尾龍右)

「サプリメントのお勧め」 柳川健

 皆さんはサプリメントを摂っていますか。私は約5年間、ほぼ毎日各種ビタミンをはじめとする数種類のサプリメントを摂取しています。なぜサプリメントを摂るようになったかというと、ちょっとした事がきっかけでした。

私は開業して3,4年経った頃から疲労感を強く感じるようになり、夕方になると体が沈むように疲れるようになりました。睡眠を十分にとっても改善せず、血液検査等でも異常はなく、どうしたものかと考えていました。ちょうどその頃、私の家内は友人から勧められた総合ビタミン剤を時々飲んでいましたので、私も試しに服用してみたのです。すると驚いたことに、1週間くらい服用すると、これまでの疲れが嘘のように感じなくなったのです。そのことをきっかけにビタミンやミネラルを補給するというサプリメント療法に興味を持ったのです。

私がサプリメントを摂り出した頃に、抗加齢医学会の存在を知り、さっそく会員となって勉強を始めました。抗加齢医学の中ではサプリメント療法は常識であり、私もある程度の根拠を持ってサプリメントの量と種類を選んで服用するようになりました。そして現在では、患者さんをはじめ多くの方にサプリメントを上手に摂ることによって健康を維持増進されるようにお勧めしています。

サプリメントをなぜ服用すると良いのか。それは食事では十分量のビタミンやミネラルを補給することができないからです。ビタミンやミネラルは体内で起こる様々な反応に必要不可欠であり、その不足から色々な病的状態が生じます。また、私たちの体が老化していくのは、体内に酸化物質が蓄積されるためであるという有力な説があります。このため、体の酸化を抑えるような働きのあるビタミンなどを摂取することは、老化を予防し健康状態を維持することに役立つと考えられています。

よく患者さんから、どういったサプリメントを摂ったら良いかという質問をお受けします。その場合に私がお聞きすることは、なぜサプリメントを使いたいと思ったのか、つまりサプリメントを摂ることによって何を得たいと考えているかということです。

たとえば、疲労感が強くて色々な検査を受けても特に異常がない方が、その疲れを少しでも軽くしたいという場合、まずお勧めしたいのはビタミンB群とコエンザイムQ10です。特にコエンザイムQ10は体内でエネルギー産生に関わる重要な補酵素であり、同時に抗酸化力が強いため老化予防にも有用と考えられており、若々しく元気でいたいという方には必須のサプリメントであると考えています。

また、最近はテレビなどでも動脈硬化のことが話題になっていますが、動脈硬化を予防し、脳梗塞や心筋梗塞を予防したいという方には、いわし油として有名なEPAをお勧めします。単独で摂取するよりもDHAとの配合剤で服用した方が良いです。服用して自覚症状が何か変わるわけではありませんが、動脈硬化性疾患(脳卒中や心筋梗塞)の予防に関してはしっかりした医学的根拠のあるサプリメントです。

テレビ番組である種のサプリメントが体に良いと取り上げられると、一時的なブームでそのサプリメントが売れることがあります。そうした流行に乗るようなサプリメントの摂り方はお勧めできません。自分にとって必要なサプリメントを知り、目的を持ってサプリメントを上手に使っていくことが大切であると私は考えています。

当院の2階にある「メディカルスパ西鎌倉」には、私が皆さんにお勧めしたいサプリメントを取り揃えています。あまりにも種類が多くてどれを使ったら良いのか分らないと言われることがあります。少し服用例をお示しします。

特に病気がなく、一般的な健康維持と老化予防のためにサプリメントを摂りたい方(私もその一人です)には、ナチュメディカ「ナチュバイタル」「ミルチカラ」「コエンザイムQ10」の3種類をお勧めします。

ナチュバイタルはいわゆる総合ビタミン剤にミネラルが入っています。「ミルチカラ」は目と神経に良いと言われる成分が入っており、老眼予防と認知症予防あるいは改善に有効です。コエンザイムQ10は先ほどお話ししたようにエネルギー産生を促し、老化を予防します。総合ビタミン剤として、ダグラスラボラトリー社のものを数種類揃えてありますので、必要に応じて変えていただけます。

また、上記以外にも服用する余裕のある方には、「DHAEPA1000」をお勧めします。DHAはカツオ油、EPAはイワシ油であり、認知症と動脈硬化予防に有効です。当院にて頸動脈エコー上動脈硬化や血栓がみられる人にはこの製剤をお勧めしています。

また、近年著しく増加している大腸癌を予防したいという方には、ラクトフェリンをお勧めします。抗ウイルス効果、免疫力増強効果、疼痛緩和効果など様々な効用が分かっている製剤です。

最後に、現在私が服用しているサプリメントを解説します。先にお話しした3種類「ナチュバイタル」「ミルチカラ」「コエンザイムQ10」と「DHAEPA1000」「ラクトフェリン」はすべて服用しています。他に、ストレスと疲労感解消のため「VB100」,ダグラスラボラトリーの「レスベラゴールド」を服用しています。VB100はビタミンB群だけ集めたもので、疲れやすい人などには特にお勧めです。また「レスベラゴールド」はレスベラトロール製剤であり、数年前に米国ハーバード大から発表された「不老長寿の薬」ともいえる製剤です。これは赤ワイン中のポリフェノール中の成分であり、肥満マウスに投与すると寿命が倍近く伸びたことで注目を集めている物質です。人間の寿命を延ばすかは不明ですが、私は120歳まで生き延びようとしているので、その効果を信じて服用しています。

皆さんもぜひサプリメントを上手に使って健康で長寿を実現して下さい。 人に自分の考えや気持ちを伝えること。あるいは人の考えや気持ちを知ること。それがコミュニケーションです。毎日、その瞬間ごとにしていることですが、このコミュニケーションがなかなか難しいと感じることはありませんか。

「生涯現役の人生」 柳川健

 私には退職はありません。いくつになっても医師としての仕事を続けていく と決めたのです。 100歳まで現役の医師として生きていくこと。 これが私の人生における目標です。もちろん、現在のように朝7時半から夜8 時過ぎまで、ほとんど休憩も取らずに働き続けることは無理ですから、年齢 に応じて働く時間やペ―スを変えていきます。という私も、以前は違う考え を持っていました。60歳位まで一生懸命働いて、残りの余生はのんびりと本 を読んだり旅行をしたり、自分の楽しみのために時間を使おうと思っていた のです。

どうして生涯現役の人生を決意したのか。いくつかの理由がありますが、その中でも一番大きい影響を与えたのは、抗加齢医学との出会いであったと思います。今から4、5年前に抗加齢医学という分野を勉強する機会に恵まれ、米国やフランスにも勉強に行きました。抗加齢、つまりいかにして年を取らないようにするか。

基本は生活習慣を健康的なものにして肥満を予防すること。そしてサプリメントによる抗酸化療法を行い、ホルモン補充など年をとると足りなくなってくる体内物質を補うというものです。しかし、勉強すればするほど、そして超高齢といわれるまで元気に過ごしている人を知れば知るほど、ひとつの事実に気づいたのです。それは、いくつになっても好奇心を失わず、前向きに生きていこうとする気概を持っているということが一番大切なことであるということだったのです。

つまり、常に前向きに積極的に生きていこうという気持ちを持つことが一番の老化予防であり長生きの秘訣だということに気づいたのです。そして、その基本的な考え方は、他人のために生きることにあると思います。

先日もある80歳代の患者さんから診察室でお話をお聞きしました。その方のお姑さんは7年前に110歳で亡くなったそうですが、103歳まで子供達を集めて英語を教えていたそうです。「人は生きている限り何か人様のお役に立たなければならない」その方の口癖だったそうです。

他人の役に立つように積極的に人生を生きていく。これこそが最大の抗加齢 であると私は考えています。

私は医師であり、柳川クリニックの院長という立場を社会の中で担っています。その立場から社会貢献していくこと、みなさんの喜んでいただけるような医療を実践していくことが私に与えられた使命です。現在44歳である私が皆さんに提供できるものは、10年後、20年後、30年後と変化していくことはあるでしょう。しかし、どの時点でも常に前向きに積極的にみなさんのお役に立てる医療を実践していきます。

生涯現役で働いていくためには毎日の努力が必要であると考えます。早寝早起き、腹八分、適度な運動とストレス発散など、しなければならないことはたくさんあります。日々の生活習慣を怠っていては、どんなに良いサプリメントを摂っていても体は弱っていくでしょうし、高血圧や高脂血症などの病気になってしまうでしょう。

私が生涯現役を実行するために現在何をしているのか、そして今後何をしな ければならないのか。生活習慣の中では、夜は12時前に寝て朝は6時頃起き ますので、睡眠時間は約6時間くらいです。7時間が理想と言われていますの で、できれば11時には横になりたいとは考えています。現在仕事が終了する のが、8時半くらいになりますので、その後帰宅しして食事を摂って、とし ているうちに時間が経ってしまっています。朝は7時半から仕事を始めていま すので、今後は夜仕事を早めに終了する方向に持っていくことを考えていま す。食事は、朝は軽く昼は2階で野菜中心の食事です。夜は普通に食べます が、炭水化物は少なめにするように考えています。ほぼ実践できています。

問題は運動です。運動しなければいけないとは常に考えていますが、なかなか実践できていません。テニスは週に1回あるのですが、仕事が遅くなり行けないことが多いのが現状です。夕食後に30分以上歩くことを患者さんには勧めているのですが、自分自身は疲れてしまって実行できていないのが最近の実態です。

サプリメントを摂ることによって、不足しがちな栄養素を補い、また体内の酸化を予防するようにしています。ビタミンABCDE、イチョウ葉、コエンザイムQ10、アルファリポ酸、レスベラトロールなどを毎日摂取しています。

特に今年の冬は、風邪予防のためにオリーブ葉を新たに加えてみました。サプリメントを摂るようになって4年位になりますが、疲労感が減ったことは確かであると感じています。

ストレス管理もとても重要です。もともと好きな仕事ですので、仕事そのものにストレスはありませんが、やはり長時間同じ場所で働いているとストレスが溜まってくるのも事実です。しかも何週間ものんびり過ごすことがないと、だんだん気力も低下してくるのがわかります。やはり1週間に1日はのんびりと過ごすことが大切であると思います。最近ゴルフを始めましたので、週に1回、せめて2週間に1回くらいは練習場に行き、2、3カ月に1回くらいはコースに行きたいと思います。

高齢になっても現役で働こうと考えると、現在の生活をしっかりと管理しなければいけないと強く感じます。もちろん、結果がどうなるのかは誰も知ることはできませんが、信じて日々実践していくことが大切なのだと思います。

老化を予防したいというのはみなさん共通の願望です。最も効果的な方法は、生涯現役でありたいという願望のもとに日々の生活を健康的に送ることだと思います。みなさんも是非、何を生涯現役で実行し、そのために今日から何をするのかを考えてみてはいかがでしょうか。

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