「漢方治療で喘息が楽になった方のお話」  小尾 龍右

患者さんは40代の女性です。
お話を聞くと「難治性喘息のため専門病院で治療中。吸入薬に加えて内服薬も飲んでいる。しかし、一年中苦しさが続いている。苦しい時は内服のステロイド剤を増量して耐えている。漢方で少しでも楽になりたい」と切々と訴えられました。

 

治療内容を尋ねると喘息を良くする西洋薬はすべて処方されていました。

専門病院の先生の苦悩が垣間見えます。動脈血酸素飽和度を測ると94%に低下しており、苦しいのも無理のないことです。

 

さっそく漢方医学的診察をしました。苦しさを改善するには、気管支の治療だけでなく、精神状態、体重の適正化が必要と判断しました。そこで、麻杏甘石湯合小青龍湯(煎じ薬)と抑肝散(エキス剤)を処方しました。

 

2週間後の診察では動脈血酸素飽和度が97%に改善しました。「非常に楽になった。ぜひ飲み続けたい」と言われたので治療を継続しました。10週間後、患者さんは嬉しそうに来られました。

なぜなら呼吸が楽なのは勿論のこと、体重が85から79kgに減り、肝機能やコレステロール値も正常になったのです。専門病院の先生は目を丸くし、測り間違いではないかと確認されたほどです。私も驚くほどの改善ぶりです。階段も楽に上れるようになり苦しい日常から解放されました。 

難治性の病態でしたが、漢方的に全身治療したことが効を奏したものと推測しています。

(*患者さんの了承を得て文章を作成しています)

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